学童の近視の進行を軽減させる事を目的とした薬にマイオピンがあります。
マイオピンはアトロピンを0.01%にした点眼薬で、Singapore National Eye Center の研究によって開発されました。
世界的に近視人口が急増し、東京では小学生の7割以上、中学生の9割以上が近視という報告があります。
(Yotsukura E. Torii H. et al. JAMA Ophthalmology)
近視の進行に関連する因子として遺伝要因と環境要因があり、近年の近視においては環境要因が大きいとされています。
新型コロナウイルス蔓延下では、特に屋外活動の低下、パソコン、スマホ等の近業の増加が顕著になり、学童の近視進行速度が増加していて世界的にも類似の報告が相次いでいます。又特に6-8歳の小学校低学年で近視進行が顕著であり、6-8歳は屈折の発達においてきわめて重要な時期であり、環境変化に敏感であるという考察も述べられています。(中村葉、他 日本眼科学会、2021)
強度近視に至ると黄斑変性症、網膜剝離、緑内障といった失明に繋がる病気の原因になりますので、環境要因を整えると共に、早期の近視進行抑制の予防治療が望まれます。
子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれることにより 生じるケースが多くあります。
近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。
そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。
低濃度アトロピン0.01%点眼薬は、近視の進行を遅らせる(眼軸長の進展を抑制する)という点で統計的にも臨床的にも有意義な効果が確認されている治療法の一つです。
口重篤な副作用の報告はありません。
*この薬の本来の作用により、一時的に瞳孔(黒目)が大きくなりまぶしく感じますが、数時間で元に戻りますのでご心配ありません。
口近視の進行を平均約60%軽減させる良好な点眼薬と言われております。
【点眼開始からの期間】
●低濃度アトロピン0.01%点眼薬
2年に渡る近視進行度 → 平均 -0.49D
▲薬効成分なし(プラセボ)
2年に渡る近視進行度 → 平均 -1.20D
1日1滴を就寝前に点眼します。
一時的に瞳孔が大きくなりますが数時間でほぼ正常な状態に戻ります。
1本5mlで1ヶ月での使い切りです。
(感染リスクを避けるためです。)
1. 近視の進行を遅らせる点眼薬であり、近視を治すわけではありません。
2. 点眼しても近視が進行したデーターはあるようですが、2年間継続して点眼する事をお勧めします
3. この治療は保険診療ではなく、自由診療ですので全て自費扱いになります。
(同日に点眼、眼鏡処方等の保険診療はできませんのでご注意下さい。)
先ず初日に点眼治療の適応検査を致します。これは保険診療となりますので保険証を持参して下さい。
保険診療の自己負担分のみの費用となります。
点眼治療の適応があれば、後日、点眼の説明とマイオピンをお渡しします。
初回(自費診療開始) | (税込) |
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診察 | 1,000円 |
点眼薬 1本 | 2,750円 |
2回目 | (税込) |
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診察・検査 | 1,500円 |
点眼薬 3本 | 8,250円 |
以後、3ヶ月毎に受診となります。
なお、初日からマイオピン点眼治療開始をご希望場合は、初日の診察・検査料は自費扱いで2,500円となり、点眼薬1本2,750円(税込)をお渡し致します。